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高千穂伝説殺人事件
昭和61年4月 角川書店(カドカワノベルズ) 刊行  浅見光彦シリーズ 第9作
ストーリー
主要登場人物
≪ストーリー≫
・プロローグ
光彦は林教授夫妻に進められて見合いをする事になった。
相手は林教授の妻・有子の兄・本沢誠一の娘・千恵子という女性で世間では天才ヴィイオリニストと呼ばれている女性だった
・二つの高千穂
甲斐敏正が運転する国鉄・高千穂線の列車が大平山トンネルを出た所で飛び込んで来た人間をはねてしまった。飛び込んで来たのは高千穂町町議会議員の帆村源治郎(72才)だった。
宮崎県内に二つある高千穂の『高千穂本家論争』の当事者で真の高千穂を決定付ける未発表の横穴式古墳があると主張した人物だった。
警察はあるはずもない横穴式古墳をあると主張したためにノイローゼになって自殺したと結論を出したが帆村の家族は自殺するはずがないと主張した。
・失踪
本沢誠一が会社に行くと言って家を出たが会社にも行かず行方不明になった。そのため、ヨーロッパ旅行中だった本沢千恵子は急遽東京に戻った。
家に父の会社の“安井”と名乗る人間が訪ねてきて“石川”か“市川”という名前を父親から聞いてないかと聞かれたが千恵子には聞き覚えのない名前だった。
父の行方の手掛かりがないかと書斎を調べていた千恵子は机の引き出しの中に留守番電話があるのを発見した。録音されているメッセージは
-----イスルギですが、例の件について報告いたします。ブツはニュータバルからタカチホへ運びました。運んだのはノベウンで、受け取ったのは市川という、四十歳ぐらいの人物だったそうです。夜だったので、場所ははっきりしなかったとのことです。以上です。報告終わります。あははは・・・・・-----
“市川”という名前が出てきた。
翌日、安井から電話があったのでその事を伝えた。
数日後、千恵子がテレビのニュースを見ていると“三上克夫”という人間が宮崎県の高千穂で亡くなったと伝えていた。テレビに映し出された写真を見てビックリした。その写真の顔は“安井”だった。
千恵子は父の会社に電話してみたところ“安井”はおろか“三上”という社員で年格好の同じ人間はいないとの事だった。
それに、三上はどうして父の失踪の事を知っていたのか。会社でも極一部の人間しか知らない事はずなのに・・・・・
千恵子は叔母夫婦に今まで事を全て話し、自分も高千穂に行くと言い出した。叔母夫婦は危険だと止めたが千恵子の意思の固さが判ったので光彦に陰から見守ってほしいと頼む事にした。
・神々の国へ
光彦は大東テレビの前田均から番組の取材で高千穂に行ってほしいと頼まれたが返事は保留にした。
その日、家に帰ると林教授から電話があったとのことなので折り返し電話をしてみると高千穂に行く姪の千恵子を陰から見守って高千穂に行ってほしいとの事だった。
翌日、大東テレビに電話して前田に高千穂行きの話しを受けると言った。
千恵子は高千穂神社にほど近い『神州ホテル』でチェックインをしている時に三上もこのホテルに泊っていた事を知った。又、客室係の女性から三上は電話帳で番号を調べどこかに電話していたと聞き、千恵子も電話帳を借りた。多分、三上が電話したのは“市川”ではないかと思い自分も調べてみると高千穂町には市川姓は1件しかなかった。
その人物は西臼杵郡高千穂町上岩戸日陰に住む市川要一という人物だった。<
その夜、三上も見たと思われる神楽を高千穂神社に見に行った。神楽を舞っている人達は面を付けているので顔は判らないが口上を述べている人間は顔が判るのでもしかして三上は口上を述べている人間の事を知っていたのではと考えてその人物に話しを聞くが三上という人間は知らないとの事だった。
翌日、千恵子はタクシーで上岩戸日陰に向かった。そのタクシーを1台の白い乗用車がずっと付いてきていた。
・荒ぶる神
千恵子がホテルに戻ると安在刑事が待っていた。三上と関係があるようだが、どんな関係かを聞きたいとの事だった。
しかし、千恵子は白い乗用車が気になり安在刑事に『付きまとうのはやめてほしい』と言ってほしいと頼んだ。
安在刑事が白い乗用車のところに行き、乗っていた人物に話しを聞いたところ千恵子を陰から見守っていた浅見光彦と判った。
光彦は千恵子から今までの事や高千穂に来てからの事などを聞いて、千恵子に危ない目に遭わないように東京に帰るように勧めた。
翌朝、二人が朝食を食べていると安在刑事がやってきて高千穂神社の神楽で口上を述べていた工藤が死んだので警察まで来てほしいと言われた。
警察で色々聞かれたが何も知らないと言い張り千恵子をホテルに帰させる事ができた。
千恵子が帰った後、光彦は捜査に協力すると申し出た。そして、本沢誠一の失踪や千恵子がそれを調べに来た事は言わずに留守番電話の内容を話し調べてくれるように頼んだ。
光彦は市川要一に会いに行き“日本の将来”についての話しを聞いた。
・中佐の亡霊
千恵子の自宅に叔母の林有子がやって来た。千恵子の身に何かあるといけないので当分の間、千恵子の傍にいるとの事。
そこへ、国土起業の専務・田坂栄男と部下の並木という人間が三上の事を聞きに来た。その際、父の失踪の事も知っていたので千恵子は逆に父の失踪の事をどうして知っているのか聞いてみた。しかし、その事についてははぐらかされてしまった。
光彦は新田原に行き役場で色々話しを聞いたが新しい事は出てこなかった。
ふと思い立って日向市役所を訪ねてみた。そこで死んだ帆村議員と市川要一が親しい間柄だったという事が判った。
又、市役所に市川が書いた本があり、その中に『延岡自動車運送』“ノベウン”があった。
光彦は市役所で本を借りて東京に帰るフェリーの中でじっくり読んでいると麻薬についての項目もあった。この麻薬はアヘンで戦時中に軍が使おうとした物で当時の値段で数十億円にもなったらしい。これで留守番電話の内容が解明されてきた。
又、“イスルギ”についても本に載っていた。“イスルギ”とは当時、新田原航空分廠の副長をしていた“石動満男陸軍中佐”という事も判った。
・疑惑の演出者
本沢家のお手伝いのトシがスーパーで何者かに襲われ家の鍵を盗まれてしまう。千恵子がトシのいる病院に行っている間にその犯人が盗んだ鍵を使い家に侵入し留守番電話のテープを持ち去ってしまった。
高千穂署の安在刑事は東京で国土起業の田坂専務に話しを聞いた。その中で田坂は千恵子の父が失踪している事を安在刑事に話してしまった。
安在刑事が千恵子の自宅にやって来て父親の事を聞いた。光彦はその時見た国土起業の名簿の中に新田原航空分廠の名簿で見た名前を見つけた。
千恵子は安在刑事が帰った後、光彦に見せられた新田原航空分廠の名簿の中に祖父の名前を見つけた。千恵子の祖父は戦後、宮下から本沢に姓を変えていた。
宮下は新田原航空分廠長兼飛行場長“宮下徹三陸軍大佐”であった。
光彦はフェリーで高千穂に向かった。船内で田坂達を見かけた。
千恵子の自宅に大東テレビの前田から電話があり自分と光彦が高千穂に向かう事を父親に伝えてほしいとの事だった。父と前だの関係は何なのか、とにかく光彦に早く伝えなければと思い高千穂に向かった。
千恵子が出掛けた直後にまた前田から電話があり対応したトシは本沢誠一が失踪している事を前田に知られてしまった。
・黄泉からの帰還
高千穂に着いた千恵子は偶然に田坂と遭ってしまい田坂の車に乗せられてしまった。どこをどう走ったか判らないが『奥鶴古墳群』に連れて行かれた。
無事ホテルに帰って来れた千恵子は光彦に会い、さっきまでの出来事を話した。
その後、二人は神楽を見に行った。舞台が終わった後、三上が神楽を見た日に口上を担当していた長田に会い話を聞いた。三上は長田が東京のクラブで働いていた時の客の一人で顔見知りだった。そして、三上とは神楽で会ったがそれは懐かしい人に会ったという程度のもので会話も挨拶程度だったと言うだけだった。
翌朝、二人で朝食をとっていると安在刑事がやってきた。
光彦は安在刑事に事件は今日か明日の内には解決すると言った。そして、田坂達を午前中いっぱい足止めしてほしいと頼んだ。
光彦と千恵子は“北の岩戸”と呼ばれるところに行った。洞窟の奥には祠が祀ってあった。ここがアヘンの隠し場所ではないかと光彦は思っていた。
その後、二人は市川のところに行き話しを聞いた。そして、千恵子が宮下大佐の孫だと話し、今は姓が変って本沢になっている事も話した。
田坂達が市川宅にやってきた。
田坂は脅すようにブツはどこかと聞いた。その時、物陰に隠れていた長田が銃を手に現れ田坂達を追い返した。
光彦と千恵子は長田に促され市川宅に裏にある洞窟の中に入った。そして、その洞窟の中で一人の老人を発見した。
・エピローグ
事件は解決したが“ブツ”は見つからない。
いや、“ブツ”は永遠に見つからない方が良いのだ!!!  あんな物があるから事件が起ってしまう・・・・・
≪主要登場人物≫
・本沢千恵子
23歳
東京都調布市在住
芸大生 ヴィイオリニスト
本作品のヒロイン的存在
・本沢誠一
東京都調布市在住
中堅商社『M』取締役経理部長
本沢千恵子の父
・帆村源治郎
72歳
宮崎県西臼杵郡高千穂町在住
高千穂町町議会議員
・市川要一
西臼杵郡高千穂町上岩戸日陰在住
郷土史研究家
・長田幹夫
36歳
西臼杵郡高千穂町三田井在住
家業の土産物製造の手伝い
神楽の口上役
・田坂栄男
東京都在住
国土起業 専務取締役
・三上克夫(安井)
46歳
東京都在住
国土起業 調査部長
・前田均
東京都在住
大東テレビ 歴史・科学ドキュメンタリー企画・製作部門所属
・安在晃一
宮崎県警高千穂署刑事課捜査係 巡査部長