おやじの図書館 ≫ 浅見光彦シリーズ ≫ 浅見光彦と女性達

浅見光彦のイメージは純情で女性には奥手・・・・・しかし何故か女性にはもてる・・・・・

そんなイメージがありますが、しかし・・・・・本当はどうなのか???

作品中で淡い恋心を抱く光彦と女性達の言動を本分より引用してみました。

・平家伝説殺人事件

浅見は苦笑して頭を掻いた。ようやく気分がほぐれてくるのを感じた。

光彦

「藤ノ川はいいところですねえ、ぜひまた行ってみたい」

稲田佐和

「ほんとうですか、きてください、祖父も喜びます。あの、祖父が、浅見さんのこと、とてもいい人だって、言ってました」

光彦

「あなたは、どうなのです」

稲田佐和

「え?・・・・・」

二人の眸がまともに交錯した。浅見の嗢ったような表情と、佐和の不安げな表情とが、そのまま凍り付いたように、動かない。やがて佐和の方から視線を外し、吐息なような声で、「好きです」と言った。浅見は佐和の前まで行き、左右から両肩を挟むようにして立ち上がらせた。

佐和はびっくりした眸で浅見を見上げた。ほとんど血の気の失せた青白い顔の中で、そこだけが別の生き物のように震えている唇に、浅見はゆっくりと唇を重ねていった。

おっと・・・・・いきなりキスですか~  以外と積極的ですね!!!

でも、光彦らしくないかも・・・・・

浅見はなるべく佐和の方を見ないようにして、言った。

光彦

「こんど、あれに乗る時は、ご一緒しますよ」

婉曲なプロポーズのつもりだけれど、佐和に通じるかどうか、自信はなかった。

稲田佐和

「いつ、ですか?・・・・・」

佐和は、黒い眸をいっぱいに見開いて、まっすぐ、浅見を見た。打てば響く怜悧さに、浅見は満足した。

光彦

「いつでも・・・・・君しだいです」

稲田佐和

「じゃあ、いま・・・・・」

言ってから、さすがに赧くなった。

稲田佐和

「うそ、です・・・・・」

海の方を向いて、急に黙りこくった。

おっと・・・・・いきなりプロポーズですか?

ま~ でも、はっきり言わないところが浅見光彦らしいと言えばらしいですがね(笑)

・赤い雲伝説殺人事件

光彦

「中途半端に食事をしたせいか、なんだか眠くなってきちゃいました」

浅見はおどけた口調で言った。むろん、自室へ戻りたい気持ちであった。

小松美保子

「どうぞお休みください。こっちのベッド、空いてますから」

美保子はそう言うと、目を伏せたままベッドカバーを裾の方へまくり、枕の調子を直した。浅見は思いがけない展開にうろたえた。美保子がいったいどういうつもりなのか、理解できなかった。

光彦

「い、いや、僕は自分の部屋へ戻ります」

われながらだらしないと思うほど、声が震えた。

美保子は動きを止めて、上目遣いに浅見を見た。

小松美保子

「いじわる・・・・・」

まるで、いじめっ子を恨むような目付で言った。浅見にしても、「意気地なし」と言われたような気がしたし、美保子のプライドを傷つけることになるとは思ったが、不幸にして、自制心から逃れることは、またしてもできなかった。

小松美保子

「じゃあ、せめてお休みのキスを・・・・・」

美保子はスーッと寄ってきて、浅見の胸の中で仰向けにポーズを作った。浅見は反射的に、ぎこちなく美保子の額に唇を当てた。

おいおい・・・・・女性にここまで言わせてそれは無いだろう!!!

おでこにキスって・・・・・

やっぱり光彦だったか!!!(笑)

・白鳥殺人事件

光彦

「二十三本のローソクを立てる時は、ぼくに手伝わせてください」

浅見はいきなり言った。

芹沢玲子

「えっ? ほんとに?」

玲子は、まぶしそうな眸を浅見に向けた。

この会話は本の一番最後に書かれている文書・・・・・つまり、最後の最後でやっと告白めいた事を言った

もう、遅いよ!!!

・高千穂伝説殺人事件

部屋のドアを開け、中仕切りの襖を開けたとたん、浅見はドキリとして目の遣り場に困った。十二畳の部屋の真中に、二組の夜具が、寄り添うようにのべられてあった。ホテルとしては、てっきり同伴者だと思い込んで、気をきかしたにちがいない。

光彦

「しょうがないなあ」

照れながら、慌てて片方の布団を端に引っ張った。

本沢千恵子

「すいません」

千恵子は消え入らんばかりの風情である。浅見はいよいよ狼狽した。

光彦

「いや、いいんですよ、僕は車で寝ますから。なに、慣れてるんです、そういうの」

本沢千恵子

「そんな・・・・・」

千恵子は非難するような目になった。

本沢千恵子

「ここでご一緒させていただいてはいけないんですか?」

光彦

「えっ?・・・・・」

光彦はゴクリと唾を飲み込んだ。

本沢千恵子

「私の分、お金は半分払いますから」

光彦

「いや、そういうことではなくて、つまりその・・・・・」

本沢千恵子

「いびきだったら、私、たぶん気にならないと思います。すぐに眠っちゃいますから」

光彦

「僕はいびきなんかかきませんよ」

本沢千恵子

「父もそう言うんですよね。ご本人は気がつかないんです」

光彦

「弱ったなあ・・・・・」

どういう育ち方をしたのだろう・・・・・と、浅見は千恵子の顔を眩しそうに見た。

(それとも、妙な具合に気を回すほうが間違っているのだろうか?・・・・・)

そんな気さえしてきた。そう思ってみると、邪な期待感が自分の胸の中にないとはいえない。なんという不謹慎だ、この非常の時というのに・・・・・。

光彦

「いいでしょう、じゃあ、宿泊費はワリカンでいいですよ」

浅見は努めて陽気に言った。

何事もなく朝を迎えてしまった。

目覚めた時、分厚いカーテンの隙間から漏れ入る光で、室内がぼんやり明るいのを眺めながら、浅見はいまどういう状況にあるのか、しばらくのあいだ失念していた。

浅見の右脇に座卓が衝立がわりに立ててある。その向こうあるものを思い出して、浅見は急に平静ではいられなくなった。

しかし、そっちとは反対の襖が開いて、千恵子の顔が覗いた。浅見と目が合って、「おはようございます」と笑っている。

本沢千恵子

「もう顔を洗ったんです。浅見さんはよほど疲れていたみたい。男の人って、割とだめなんですね」

だめ・・・・・というのが、なんだか「意気地なし」と言われたようで、浅見は取り返しのつかない損をした気分であった。

ん~・・・・・ 確かに取り返しのつかない損をしたかもしれない!!!

と、言うより千恵子の方がずっと大人かもしれない。

・「首の女」殺人事件

野沢光子

「浅見くん、結婚しない女ってどう思う?」

加速を楽しむように少し背を反らせて、光子が言った。視線は遠い山を見ている。

光彦

「べつに。そういう生きかたがあってもいいと思っている。義務感なんかで結婚することはないさ」

野沢光子

「もし私が結婚しそうになったら、言ってくれないかな」

光彦

「言うって、何て?」

野沢光子

「いやなんです、あなたがいってしまうのが・・・・・って」

光子は笑いだそうとしたのを急にやめて、妙に深刻な顔で光彦の横顔を見た。

今回も女性の方からの告白???

しかし、今回の女性は光彦の幼馴染みだから逆に照れてなかなか告白なんてできないんじゃないかな~・・・・・それでも、こんな発言をするんだから、かなり真剣に光彦の事を想っていたのでは???

・漂泊の楽人

漆原肇子

「浅見さん、今夜、やっぱり泊っていらしてくださいね」

肇子は刑事の最後のひと言を受け継ぐように、断固として言った。

漆原肇子

「いいでしょう? でないと、不安で眠れそうにありません」

光彦

「分かりました、それじゃ泊めていただきましょう」

浅見もついに観念した。

眠りに落ちる前ほんの一瞬、家の中のどこかで眠っているであろう肇子のことが脳裏をかすめ、このまま眠ってしまうのがちょっぴり惜しいような気がした。

惜しいような気がするなら勇気を出せ!!!

・恐山殺人事件

浅見は立ち上がりかけて、腰に力が入らなくて、無様に座卓の上につんのめった。

(おかしい・・・・・)と瞬間、思った。ただの酔いだけではこんなことにはならない。アルコール以外に何か飲まされたな・・・・・という気が、薄れゆく意識の底でしていた。

唐橋春美

「お医者を呼びましょうか?」

光彦

「いや、医者は嫌いだ。それよりきみ、何を飲ませたんだ?」

苦しい息の下から、浅見は詰るように言った。

唐橋春美

「ごめんなさい、こんなふうになるとは思っていなかったもんだから・・・・・」

光彦

「だから、いったい何を?・・・・・」

唐橋春美

「分からないんです」

光彦

「分からないって、そんな・・・・・」

唐橋春美

「疲れを取って、催眠作用があるって、祖父から聞いたことがあるんです。祖父が先代の高川さんから貰った漢方の薬なんです。何とかいう薬草から抽出したエキスだそうです」

光彦

「そんな・・・・・いくら漢方薬だって、そんな古いものじゃ変質しているんじゃないの?」

春美は「催眠作用」と言ったが、じつは「催淫作用」を期待したのではないか・・・・・と浅見は疑った。

とはいえ、こういう思いがけない状態になったことで、春美の思惑はふっ飛んでしまったわけだ。

もっとも、浅見としても、正直いえば、気持ちのどこかで春美の誘惑に乗ることのできない、自分の偏狭さが呪わしくもあったのだが・・・・・

ん~・・・・・かなり手の込んだやり方だったけど、光彦の貞操は守られた! って、感じかな?(笑)

しかし、女性にここまでされても・・・・・光彦って・・・・・

・・・・・続く